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2011/01/28

騎士と恋

第十三章
 翌朝、ドン・キホーテとサンチョは、昨夜彼らをもてなしてくれた羊飼いたちと共に、噂のグリソストモの葬儀と埋葬を一目見ようと出かけて行った。途中、とある十字路に差し掛かったとき、横手から6人ほどの羊飼いと立派な旅支度の2人の紳士が合流した。彼らの話題も、グリソストモのことで持ちきりのようであった。その話に割って入ったドン・キホーテの物々しい出で立ちを見て、紳士がその理由について質問すると、ドン・キホーテが答えて言った、「わが天職を実践するためには、これ以外の格好で歩きまわるわけにはいかないし、許されてもおりませんのじゃ」。これを聞いた紳士は、ドン・キホーテの異常ぶりを即座に察したが、あえてそこで話を止めずに、現地へ着くまでの暇つぶしにと、第二の質問を投げかけた。それは、遍歴の騎士たちがめいめいに思い姫を持っており、いついかなるときにも思いを寄せ続けると共に、仇敵との戦いにおいては、その加護を祈るという慣わしがあるようだが、それはいかなる理由によるのかということと、キリスト教徒たるものは、女ごときにうつつをぬかすよりも、むしろ神の護りと導きを祈り求めるのが順当ではないかというものであった。これに対して、ドン・キホーテは言った、「恋をしないなどということはありえない」と。
 ドン・キホーテも含めて、遍歴の騎士というものは、一見奇妙な存在である。彼は、この地上の誰にも増して己の思い姫を慕い憧れる。昼も夜も、思うのは、思い姫のことばかりである。しかし、そのように恋焦がれている姫を自分のものにしたいなどとは、決して思わないのである。この決して成就しない恋は、遍歴の騎士の宿命である。というのも、その恋を成し遂げることが、むしろ騎士道の成就の妨げとなるからである。この大いなる矛盾に遍歴の騎士は、耐え、立ち向かい、勝利し続けるのである。
 人類は、人生の目的を探し求めて来た。そして、これこそが人間にとって人生の目的であるというものに、まだ出会ってはいない。そもそも、それは、出会えるものなのだろうか。グリソストモは、彼の人生の目的を、マルセーラという美しい娘に設定した。しかし彼は、いまその実を刈り取り、正に葬られようとしているのである。それに対してドン・キホーテは、騎士道という修行、いわば個人にとっての一つのムーブメントを人生の目的に設定したのである。彼の人生の目的は、お金でも幸福でも、また思い姫と結ばれることでもなく、自由となっていく彼自身なのである。

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第3章

1.さて、ヘビは神が造られた野の獣たちよりも狡猾だった。彼は、女に言った、「やあ、神は、園のどの木からも食べてはならないと言われたのかい」。
2.すると女は、ヘビに言った、「園の木の実は、食べても良いのです。
3.しかし、園の中央の木の実は、食べてはならないし、触れてもいけない。死ぬといけないからと神は言われました」。
4.するとヘビが女に言った、「死ぬはずはないでしょう。
5.あなたがそこから食べる日には、あなたの目が開けて、神のように善悪を知るようになるであろうことを神は知っておられるのです」。
6.すると女には、その木が食べるのに良く、目に麗しく、賢くなるのに望ましく見えたので、彼女はついに、そこから実を取って食べ、彼女の夫にも与えたので、彼も食べてしまった。
7.すると、彼らの目が開かれて、自分たちが裸であることを知ったので、イチジクの葉を接ぎ合わせて前掛けを作った。
8.そして、日の涼しくなるころ、彼らは、園の中を歩く主なる神の声を聞いた。すると、アダムとその妻は、神に出合わないように園の木の間に身を隠した。
9.主なる神がアダムを呼んで言われた、「どこにいるのか?」。
10.彼は答えた、「園の中であなたの声を聞き、私は裸だったので恐れて、身を隠しました」。
11.すると神が言われた、「あなたが裸であることを誰が告げたのか。食べてはならないと命じた木から食べたのか」。
12.男は言った、「あなたが一緒なるようにと私に下さったあの女が木から取ってくれたので食べたのです」。
13.主なる神は女に言われた、「何ということをしてしまったのか」。すると女は言った、「ヘビが私を騙したので食べてしまいました」。
14.神は、ヘビに言われた、「おまえは、このことをしたので、すべての家畜よりも、野の獣よりも呪われる。腹で這い回り、一生塵を食べて暮らすように。
15.わたしは、おまえと女の間に、おまえの子孫と女の子孫の間に敵意を置く。それは、おまえの頭を砕き、おまえは彼のかかとを砕くのだ」。
16.神は、女に言われた、「私は、あなたの悲哀と産みの苦しみを大いに増大させよう。あなたは、悲哀の内に子を産み落とし、それでも夫を慕い求め、彼はあなたを支配するだろう。
17.また、アダムに言われた。「あなたが妻の声に耳を傾け、食べてはいけないと私が命じた木から食べたので、あなたのために地は呪われ、あなたは生涯、悲哀の中にそこから採れたものを食べるだろう。
18.イバラやアザミがあなたに向かって生え、あなたは野の草を食べるだろう。
19.あなたは、土に戻るときまで、顔に汗を流しながらパンを食べる。あなたは、そこから造り出されたのだから。あなたは、元は塵だから、塵に戻るのだ」。
20.アダムは妻を、彼女がすべての生きている者の母であることにちなんでエバと呼んだ。。
21.主なる神は、アダムと彼の妻に、皮の上着を作り、それを着せてくださった。
22.主なる神は言われた、「見よ、男は我々の一人のように善悪を知る者となった。そこで今や、彼が手を延ばして、命の木からも食べ、永遠に生きることがないようにしよう」。
23.そのために主なる神は、彼がそこから取られたところの地を耕させるために、彼をエデンの園から送り出された。
24.そのように神は、人を追い出し、エデンの園の東にケルビムと燃えて回り続ける剣を置き、命の木への道を守られた。

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