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2009/08/05

セミ

Semi 子供のころ、よく山へ分け入ってセミをとった。はるか高いところから聞こえてくる声を、木の根元をぐるぐる回りながら見上げていると、むし熱さや鳴き声の反響も手伝って、だんだん目まいがしてきたものだ。そして、セミと自分が向かい合っているような不思議な感覚に襲われた。セミは、木に溶け込んでいく。セミの目が僕を見る。後ろから、横から。見えない声が響く。高らかに笑う。僕は、網を差し出す。セミは動かない。網をかぶせても。急にセミが強くなる。木が加勢する。周りの木が。そこは、不思議な戦場だ。男の子が少しだけ大人っぽくなるための。

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