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2007/11/14

ダビデの子

歴代誌上 第3章

 イスラエルの系図は、少し注意して見るとすぐに分かるが、決してきれいなものではない。往々にして、長男が必ずしも後を継いでいるわけではなく、また、正妻の子がいつも祝福を受けているわけでもない。しかしそれにしても、ダビデは、子育てには苦労したように見える。長男のアムノンは、異母兄弟アブサロムの妹タマルに恋し、彼女を辱めたことにより、アブサロムに殺されてしまったし、そのアブサロムは、ダビデに対して謀反を起こし、側女の子であるヨアブに打たれて死んだ。また、ヨアブは、ダビデ自身がその子ソロモンに与えた指示により殺害されてしまう。さらに4男のアドニアも、ダビデの後に自ら王となろうと急ぎ、殺されてしまった。実際にダビデの後、王位を継いだのは、ダビデの不倫による妻バテシバから生まれたソロモンであった。
 しかし神は、このダビデ自身の神への忠誠を重んじられ、イスラエルの王権を、彼らの背信の罪にも関わらず、末永く存続させられたのであった。それゆえ、キリストはダビデの子と呼ばれ、この歴代誌においては、ダビデの王権に多くの紙面が充てられているのだろう。

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系図の命

歴代誌上 第2章

 歴代誌には、創世記から列王記の終わりまでのできごとが書かれているが、紙面の関係もあり、それらは非常に凝縮されている。しかしそれは、ただの羅列ではなく、明らかにある意図を持って列挙されている。一つの視点として、それは、イエス・キリストの系図を意識しているかのようだ。この第2章は、ヤコブすなわちイスラエルの系図から始まるのだが、ユダ、ペレツ、ヘツロン、ラム(アラム)、アミナダブ、ナフション、サルマ(サルモン)、ボアズ、オベド、エッサイを経てダビデに至る道筋をまずまっしぐらに記述してから、系図の他の系統についても若干言及している。
 そのようにこの第2章には、400年に及ぶエジプトでのイスラエル民族の苦難、カナン定住後の背信と士師たちによる救済、王制への移行とその確立までの期間が含まれているのだが、それらの出来事への言及は皆無である。この書の著者は、むしろそれらをスキップして、一足跳びにダビデを登場させたいのだ。つまり、著者が歴代誌を通して語りたかったのは、イスラエル民族の生い立ちではなく、一人の人の系図についてなのだろう。
 イエス・キリストは、ダビデの子と呼ばれるが、歴代誌の著者はダビデについての記述に、19章余りを費やしている。それから、その子ソロモンに対しては9章を、次いで多いのが、アサ:3章、ヨシャファト:4章、ヒゼキヤ:4章、ヨシヤ:2章となっており、これらは、みな神に従って歩んだ良き王たちである。それでもこの系図は、バビロン捕囚によりついにとぎれてしまったかのように見えた。しかし、マタイによる福音書によれば、それは、その後の大国による征服にも耐えて、500年以上も後の、イエス・キリスト誕生まで、脈々と引き継がれていくのである。

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