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2007/06/12

焦点

サムエル記下 第2章

 サウルの死後、ダビデが神に託宣を求めると、「ユダのヘブロンへ上れ」とお答えになった。そこで彼がヘブロンへ上って行くと、人々はダビデに油を注いでユダの王とした。しかし、ダビデが、自分に従っていた兵を連れて来たため、サウルの軍指令官だったアブネルは、自分の地位を守ろうと、王は世襲制だとして、サウルの息子イシュボシェトを擁立して権力の奪回を図った。世には、このような権力争いが常である。それは、人間の虚栄心の成す業である。しかし、その虚栄心は、神が作られた高貴な力が捻じ曲げられた姿なのである。アブネルは、サウルというイスラエルの王に仕えていた。その限りで彼の心は、神に従う高貴な状態であった。しかしサウルが死んだとき、彼の心は、まさにサウルへの忠誠心から、すぐにダビデに仕えることはできなかったのである。そしてそれがこの世の王制の悲劇なのであり、それゆえ、神もサムエルもイスラエルに王を与えることをためらったのである。それゆえ、そのような不自然な状態から開放されるには、ただ一つの方法しかない。それは、武力によりイスラエルを統一することなのである。というのは、たとえアブネルがダビデに従っても、今度はダビデに従う兵たち、彼らは元ならず者たちであり、彼らがアブネルが自分たちよりも高い位に就くことを拒むだろう。このように、権威自体は天的なものであり、一点の曇りもないほど美しいものであるが、それがこの世界に焦点を結ぶとき、そこに様々な権力争い等が生じてくるのである。
 そのようにして、ダビデとヨアブが率いるユダとアブネルが率いるイスラエルは、一つの池を挟んで相対した。そして、この戦いにはすでに結論が出ていた。神が油を注がれたのは、ダビデだからである。しかしその決定は、永遠の世界でなされており、この世界に現象として現れるまでには、多くの人の血が必要となったのであった。

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